茅刈り研修・茅葺き家屋見学
私達が毎日のように見上げる茅ヶ岳は、その名の通り、かつては良質の「茅」が多く採れる山だったそうです。
しかし、現在はまとまった量の茅を採ることができないため、昨年行った三之蔵神社神楽殿の屋根葺き替え事業では、県内忍野村の茅を使いました。
作業の中で、三之蔵神社氏子さんやボランティアさんは、茅のすぐりや葺き替えの技術を学び、習得していきましたが、では、その茅はどのように育ち、刈られ、保管されているのでしょう?
それらを知るために、今回、数名の作業ボランティアさんやNPO会員さんと共に、忍野村の茅場に研修に行ってきました。
自衛隊の演習場である北富士演習場内に広がる茅場は、本当に広大で、どの方向を見渡しても、茅・茅・茅。
北富士演習場は、入場許可証を持っている方のみ入れるそうなのですが、今回、その許可証をお持ちで、茅の刈り取り・販売をご職業にされている方のご好意で、研修をさせていただきました。
茅は、出来るだけ根元から、引っ張るように刈るのがいいそうです。
茅以外の小枝などが混ざらないように気を付け、端を揃えて積んでいきます。
長さの決まっている紐がちょうど2周する量になったら束にします。
稲と違ってかなり堅いので、悪戦苦闘している方も。
全員で刈り取って、約30分後には上の写真くらい開けました。
刈り取った茅は、右の写真の倉庫で保管されます。
その後、私達は河口湖町のへ移動して、「西湖いやしの里根場」を見学しました。
根場(ねんば)は、昭和41年の台風26号の集中豪雨による土石流で、飲み込まれてしまった茅葺き家屋集落。
多くの人命とともに30余戸のうち、わずか4戸を残して消失しまったそうです。
その根場集落を、同じ場所に復元したのが「西湖いやしの里根場」です。
最終的に23棟が復元される予定で、現在も整備中です。
この屋根の形は「甲造り(かぶとづくり)」といい、明野周辺ではあまり見られませんが、県内ではさほど珍しくなく、主に郡内地方を中心に分布しています。
その屋根型は、養蚕時の作業スペース拡大・採光・換気など、生業と深く関わって発展してきたと考えられています。
民家、特に草葺屋根の家は、資材にその土地で多く採れるものが使われ、生活の影響を色濃く受けて発展してきました。
つまり、民家を見れば、その土地のかつての姿を知ることが出来ます。
そのような視点で、町歩きをしてみるのも楽しいかもしれません。